九州大学大学院 博士課程リーディングプログラム 分子システムデバイスコース

九州大学理学部化学科

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化学ばなれのすすめ

 皆さんはこのタイトルを見て、化学を教える立場の人間が何事かと驚かれるかもしれません。タイトルの説明をする前に、化学と他の分野、例えば物理や生物との関係について少し考えてみましょう。皆さんが高校の化学で勉強する気体の状態方程式は物理でも習いますし、核酸やタンパク質といった生体高分子は生物でも勉強します。つまり重複した領域が存在しています。この傾向は大学でさらに顕著になります。「化学結合」や「化学反応」といった化学を代表するような概念を量子論で説明できることを学び、生物は様々な分子や化学反応を利用して生命を維持していることを勉強します。このように、最先端の化学は他の分野と密接に関係するとともに、その境界も曖昧になっています。実際に化学は生物や物理ばかりでなく、地学、薬学、工学、農学、医学など多くの分野と関連しながら「科学」の発展に貢献しているのです。

 ここでタイトルに話を戻しましょう。実はこれは私の恩師である故橘和夫東大教授が1992年の「化学と工業」という雑誌に寄稿されたエッセイのタイトルです。そのエッセイでは、「化学という分野は他分野からの参入が困難である一方、化学者は分野をまたぐことが得意である。したがって、化学を学んだ者は他の科学分野に飛び込んで(つまり化学ばなれをして)、化学者ならではの発想で新しい研究や学問を切り開くことができる」という内容が述べられています。つまり、「化学」は「科学」を理解するための重要かつ不可欠な手段であると捉え、化学を基盤として境界領域もしくは他分野での研究を推進しようというという考え方です。

 さて、皆さんの中には、化学以外に物理や生物、環境問題やエネルギー問題にも興味があって、どの分野に進むか迷っているという方も少なくないと思います。ここでこのHPにある化学専攻や化学科の研究室を見て下さい。「物理」「量子」や「生物」「生体」といった名前のついた研究室がいくつもあることに気付くと思います。これらの研究室ではまさに化学と物理や生物との境界領域で研究が行われています。そしてそれ以外の研究室も、いわゆる「化学」だけではなく様々な「科学」を取り入れて研究を行っています。つまり、皆さんは化学科にいながら「化学ばなれ」「分野またぎ」をすることができるのです。これは本化学科が全国的に見ても極めて多様で幅広い研究室を持っているからこそ可能な大きな特徴です。九州大学理学部化学科で化学を学び、そのまま化学を究めるもよし、分野またぎをするもよし、化学を武器に皆さんの前に広がる大いなる「科学」の世界に挑戦してみませんか。

 

2018年度部門長・専攻長・学科長  松森信明

 

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