福島先端研究 特設サイト
九州大学理学部 宇都宮研究室
2023年4月 成果を更新しました。
メッセージ

3.11から13年がたちました。
2011年に福島第一原子力発電所でおきた原子力災害から2021年で10年経過したことを機に、これまでの我々の研究活動、成果を広く一般の人にも還元する目的でこのサイトをつくりました。

私たちは最先端の分析手法を融合させて原発から放出された微粒子を精密に分析することで、放射性核種の動態、そして原発内部のデブリの性状、メルトダウン時の反応など、さまざまな情報を引き出し、科学にもとづいた真実を明らかにしてきました。2024年にはデブリの取り出しが始まり、これからさらにデブリの詳細が分かっていくことと思います。

しかし、13年経過した後も、環境中の微粒子の分析からいまだに新しい結果がでてきています。むしろ、事故後の数年間の成果よりも高い精度の多角的なデータが得られており、全体的に最近の研究成果の質は高くなっていると感じています。

今後燃料デブリを取り出す時にはその化学的性質をできるだけ正確に分析して熟知しておく必要があります。放出されたデブリ片に適用してきた私たちの多角的な分析アプローチはその指針になると考えています。

また12年経過しても一部の環境中において今も高い線量の場所があります。その原因になっている放射性元素は主にセシウム137です。セシウムは土壌中の粘土にくっついているか、水に溶けずらい微粒子として存在することが分かっており、これらが環境中でどの様に移動していくのかが、ホットスポットの形成に大きく影響を与えています。今後はその様な動態も見ていく必要があると考えています。



ここに載せた成果は、我々コアメンバーというよりも寸暇を惜しんで研究に打ち込んできた何人もの九州大学の学生たちの努力の結晶であり、彼らを誇りに思うとともに彼らに対して感謝したいと思います。

最後に
私たちはここに東北地方で13年前に失われた命に対して哀悼の意を表したいと思います。また、10年経過した今でも大変な生活をお過ごしの方々に心休まる日が来ることを切に願っております。

私たちの研究が、すこしでも福島の復興に貢献できれば幸いです。

追記
2024年7月、我々福島先端国際共同研究チームのコアメンバーであったStanford大学Rodney Ewing教授が他界されました。最後まで福島の研究を気にかけ、サポートしてくださいました。Rodの福島に対する思いと貢献に感謝しながら、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。











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